中原中也記念館と湯田温泉
2012年の夏に、山口県湯田温泉にある中原中也記念館を訪ねる。
鈍行の電車に揺られながらの旅で、車窓から流れる景色を眺めたり、大岡昇平の『中原中也』の評論を読んでみたり、居眠りしたりとのんびりとして行程。
以前からずっと行ってみたいと思っていた場所。
詩人である中原中也の原点。
日本語の言語感覚。
旋律。
フランス語。
恋愛。
ランボー。
結婚。
子供。
…などなど。
お墓参りにも行きたいと思ったけれど、体力的に疲れていたので気力もなくなっていた。
この中原中也記念館は、中原中也の生誕の地でもあるので、まあ、今回は、ここだけで良しとしたわけであったのです。
もう少し時間があれば、一泊して、のんびりと温泉に浸かりたいところだったけれど、また今度かな。
因みに、湯田温泉駅の脇には、無料の足湯がありました。
大きな白狐の左側の場所が足湯です。
最後に好きな詩を引用して終ります。
「月夜の浜辺」から
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちていた。
それを拾って、役立てようと
僕は思ったわけでもないが
月に向ってそれは抛れず
浪に向ってそれは抛れず
僕はそれを、袂に入れた。
月夜の晩に、拾ったボタンは
指先に沁み、心に沁みた。
月夜の晩に、拾ったボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?